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農業に関する

用語集

病害虫・農薬

雨よけ栽培(あめよけさいばい)

降雨を避けるため、パイプ骨組みの屋根にビニルを張っただけの簡易な施設で作物を栽培すること。雨が当たらなく多湿下で発生するべと病(ウリ科、ホウレンソウなど)、疫病(トマト)、黒とう病(ブドウ)などの発症を少なくすることができる。

忌地(いやち)

同じ場所に同じ作物を連続して栽培すると収量が減収する現象のこと。病害が主原因である場合は連作障害。忌地の原因ははっきりしていないが、作物の根から分泌される物質が他作物の生育を阻害したり、有機物を栄養源として繁殖する微生物による害作用などがいや地に関係しているともいわれている。

ウイルス病(ういるすびょう)

ウイルスが原因で起こる病気のこと。植物体内に入り植物体内で増殖することから、直接、病原体を死滅させることは極めて難しい。ウイルスに侵されると収量、品質が大きく低下する。アブラムシ類、アザミウマ類などの害虫により媒介されるものや、土壌伝染、種子伝染するものがある。主要病害とされることが多い。

ウイルスフリー苗(ういるすふりーなえ)

ウイルスに罹病(汚染)されていない苗のこと。栄養繁殖で増殖するキク、イチゴ、フキ、ジネンジョなどは親株が罹病しているとその苗は全てウイルスを保有することになる。ウイルスフリー苗はウイルスに汚染されていない成長点の部分を採取し、無菌で培養し、ウイルス病を伝搬する害虫の侵入を遮断する施設内で管理されている。

慣行栽培(かんこうさいばい)

その地域で一般的に行われている栽培方法のこと。農薬や化学肥料の使用量、作業時間、収穫量などを比較する際、一方の基準として使われることがある。

希釈倍率(きしゃくばいりつ)

農薬等を水に溶かす場合の倍率のこと。濃度が濃ければ良く効くと思いがちであるが、定められた希釈倍率で使用する方が最も効果が高い。残留農薬、作物への薬害を出さないためにも希釈倍率を守ることが必要である。散布量(L)÷倍率✕1000=必要量(g、ml)。1000倍に希釈した液を500L散布したい場合は500g(ml)を溶かす。

くん煙(くんえん)

施設内で薬剤を加熱して煙りを発生させ、微粒子となった薬剤を作物に付着させて作用する。

くん蒸(くんじょう)

密閉された状態で薬剤をガス化させて作物や収穫物を殺虫・殺菌すること。

劇物(げきぶつ)

毒物及び劇物取締法で定められた薬剤の区分で、人体への急性毒性、その他環境への影響などが毒物より弱い薬剤。

耕種的防除(こうしゅてきぼうじょ)

農薬を使わずに栽培方法などにより病害虫を防除すること。例:抵抗性品種の利用、輪作、間作、混作、作期の変更、接ぎ木、除草など。

殺菌剤(さっきんざい)

農作物等を加害する病気を防除する薬剤。

殺虫剤(さっちゅうざい)

農作物等を加害する害虫を防除する薬剤。

種子消毒(しゅししょうどく)

種子に付いた病原体などを死滅させるために農薬で処理すること。浸漬、塗布、粉衣(粉剤を種子にまぶす)などの方法がある。

食品衛生法(しょくひんえいせいほう)

食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制などにより飲食に起因する衛生上の危害発生を防止を目的とした法律。 この法律の中で食品中の残留農薬基準が設定され、基準値を超えた農産物は販売できないとされている。

※残留農薬基準・・・食品衛生法で、農産物を生産するために使われた農薬が残留し、それを食べた人の健康を損なう恐れがないようにするために定められた基準のこと。基準が設定されている農薬はその基準値で、基準が設定されてない農薬については一律基準(0.01ppm)が適用される。

植物成長調整剤(しょくぶつせいちょうちょうせいざい)

農作物等の生育を促進したり、抑制する薬剤。例: トマトトーン・・・トマト、ナスなどの着果促進・果実肥大、ジベレリン・・・ブドウなどの無種子化・果粒肥大促進、オキシベロン・・・キクなどの挿し木の発根促進

除草剤(じょそうざい)

雑草を防除する薬剤。

生物農薬(せいぶつのうやく)

農薬としての目的で利用される生きた生物のこと。昆虫、ダニ、線虫、菌類などが中心である。天敵を利用したものを天敵農薬、微生物を利用したものを微生物農薬と呼ぶ。

線虫(せんちゅう)

土壌中や植物体内に棲む数ミリ以下の細長い虫のこと。作物にとって無害の種類がほとんどであるが、口針(こうしん)を有し、作物の根を腐らせたり(ネグサレセンチュウ)、根にコブをつくって(ネコブセンチュウ)生育を阻害する有害線虫が問題となる。ネマトーダともいう。

耐性菌(たいせいきん)

薬剤に対して耐性(殺菌効果がない)を持った菌のこと。同一薬剤を連続使用したり長期間使用していると耐性菌ができやすい。

抵抗性(ていこうせい)

薬剤に対して抵抗性(殺虫効果がない)を持った害虫のこと。

適用作物(てきようさくもつ)

農薬登録により農薬ごとに「使用してもよい作物」(適用作物)が決められている。適用作物以外の作物には、効能、安全性などの試験がされておらず使用が禁止されている。

展着剤(てんちゃくざい)

他の農薬と混合して用い、植物体への、農薬の付着性を高める薬剤。界面活性剤などを主成分とする。

毒物(どくぶつ)

毒物及び劇物取締法で定められた薬剤の区分で、人体への急性毒性、その他環境への影響などが劇物より強い薬剤。

土壌伝染性病害(どじょうでんせんせいびょうがい)

病原体を栽培ほ場の土壌中に残すことにより、次の作物に伝染する病気のこと。この病気は作柄に重大な影響を与えたり、一度病原体が土壌に残ると数年発生することもあり、主要病害とされることが多い。

トラップ(とらっぷ)

害虫の発生状況を調査するための誘殺(捕殺)装置のこと。

トレーサビリティ・生産履歴(とれーさびりてぃ・せいさんりれき)

作物毎に肥料、農薬の使用状況、栽培管理全般について記録をつけること。安全な農産物を生産したことを担保する手段としても有効で、市場出荷、直売所出荷に関わらず生産履歴を記録する。

農薬(のうやく)

農薬取締法で「農作物を害する菌、線虫、ダニ、昆虫、ウイルスなどの防除に用いられる殺菌剤、殺虫剤、その他の薬剤及び農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる成長促進剤、発芽抑制剤、その他の薬剤」と定められているもの。

農薬使用基準(のうやくしようきじゅん)

農薬の安全かつ適正な使用をするため使用者が守るべき基準のこと。使用者は基準に違反して農薬を使用してはならないと定められている。使用者が守るべき基準として①適用作物②単位当たりの使用量の最高限度③希釈倍率の最低限度④使用時期⑤生育期間における総使用回数が容器のラベルに記載されている。

農薬取締法(のうやくとりしまりほう)

農薬についての登録制度を設け、販売及び使用の規制等を行うことにより、農薬の品質の適正化とその安全かつ適正な使用を図り、農業生産の安定と国民の健康保護を目的とした法律。

農薬の剤型(のうやくのざいけい)

農薬の剤型と主な種類と特性は次のとおりである。

○乳剤:にゅうざい。水に溶けにくい有効成分を溶媒にとかし、水中で均一な微粒子で分散するよう乳化剤を加えて安定化したもの。水希釈液は白濁、不透明な液。

○液剤:えきざい。水溶性の有効成分を液体の製剤としたもの。水に希釈、溶解して用いる。水希釈液は透明で安定している。

○水和剤:すいわざい。水に溶けにくい有効成分を微粒子とし、これに増量剤と界面活性剤を加えたもの。水希釈液は白濁不透明な液。

○水溶剤:すいようざい。水溶性の有効成分を粉末等にした固形剤で、水に溶かすと容易に水溶液になる製剤のこと。水希釈液は透明で安定している。

○DL粉剤:でぃーえるふんざい。ドリフト(漂流飛散)が少ない粉剤で平均粒径20~30マイクロメーター程度の粒子からなり凝集剤が添加されている。

○粒剤:りゅうざい。農薬原体を増量剤などにコーティングして製造される粒状の固形剤。粒径は300~1700マイクロメーター。

○フロアブル:固体の有効成分の微粒子を主として水に分散させた製剤。ゾルとも呼ばれる。希釈後は白濁し不透明。希釈液の安定性は乳剤と水和剤の中間。(登録上の種類は水和剤)

媒介(ばいかい)

病原菌を伝染させたり、花粉などを運搬して受粉を助けること。

病害虫発生予察情報(びょうがいちゅうはっせいよさつじょうほう)

病害虫の発生は気温、日射、降雨など自然環境と植物の生育状況などに影響される。発生の状況をほ場(定点)で調査し、過去のデータなどと照らし合わせて、現在の発生状況と今後の予測を行い、農業者等へ提供する情報のこと。予察情報を基に適期防除を行うことにより農薬使用量を減らすことが可能となる。

フェロモン剤(ふぇろもんざい)

害虫の性フェロモンと類似した化合物のことで、これをほ場に漂わせることにより害虫同士の交信を妨害して、交信を攪乱することにより交尾の邪魔をし、次世代の発生を抑えることで被害を減らす剤と、メスの性ホルモンでオスを誘い捕殺する剤がある。

ホルモン剤(ほるもんざい)

植物の体内で生成されるホルモンと同じ働きをする化学合成物質のことで、トマトの果実肥大のトマトトーン、種なしブドウのジベレリンなどがある。

薬害(やくがい)

農薬を使用することにより作物に発生する生理障害のこと。急性症状では葉焼け、斑点、萎れ、落葉、果実の焼けなどを、慢性症状では葉の硬化、枝の伸長不良などを呈す。作物が軟弱徒長気味であったり高温な気象条件下では薬害が発生することがある。

連作障害(れんさくしょうがい)

同じ場所に同一種・同一科の作物を連続して栽培すると収量、品質が大きく低下すること。主原因は土壌伝染性病害といわれるが、作物残渣、養分吸収の片寄りなども影響しているといわれる。代表的な例として、ナス科作物(ナス、トマト、ピーマン、ジャガイモなど)、ウリ科作物(キュウリ、スイカ、メロンなど)がある。

ローテーション(ろーてーしょん)

順番の組み合わせのこと。病害虫防除の注意点として薬剤の効果を継続させるため(耐性菌、抵抗性を持たせないため)、同一薬剤及び同系統の薬剤を連続して使用しないよう使用の順番に注意を払う。また、作物の作付けの順番のことを指す場合もある。