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農業に関する

用語集

土壌・肥料

土づくり(つちづくり)

土壌を作物の栽培に適した状態に改良することで、土壌の物理性や化学性を改良すること。例えば、有機物、堆肥の施用、石灰、苦土などを含んだ土壌改良材の施用、緑肥の鋤込みなどがある。

EC(いーしー)

電気伝導度(でんきでんどうど)とも呼び、土壌中に含まれる塩基類(肥料成分)の含有量を表す。EC値が大きいほど塩基類が多く含まれ、0に近づくほど少ない。一般的には1~0.5が生育に適しているといわれている。また、EC値が高いほど硝酸態窒素も多いなど、相関があるといわれている。

液肥(えきひ)

水に溶かした肥料のこと。作物に与える場合は水で薄め、かん水を兼ねて使う。速効性がある。

塩類集積(えんるいしゅうせき)

肥料成分が土壌中に溜まる(集積する)こと。露地栽培では、作物に吸収されずに土の中に残った肥料分は降雨によりほとんど流されるので塩類集積は起こらないが、ビニルハウスなどの施設栽培では残った肥料成分が徐々に土の中に溜まり、作物の生育が悪くなったり枯れるなど濃度障害を引き起こす原因となる。

化成肥料(かせいひりょう)

化学工業的に製造されたもので、窒素、リン酸、カリのうち二つ以上を含む化学肥料のこと。複合肥料、配合肥料とも呼ばれる。3成分の含有量が合計で30%以上のものを高度化成、30%未満のものを普通化成と言う。

家畜ふん堆肥(かちくふんたいひ)

牛、豚などの家畜のふん尿、敷料を原料とした堆肥のこと。牛のふん尿、敷料を原料にしたものを牛ふん堆肥(たいひ)、豚のそれを原料にしたものを豚ぷん堆肥と呼ぶ。鶏ふんは窒素成分を多く含むので堆肥扱いはせず、肥料として扱うことが通例である。

緩効性肥料(かんこうせいひりょう)

肥効(肥料成分の土壌中への溶け出し方、効き方)がゆっくり現れる肥料の総称。緩効性肥料は、土壌中における肥料成分の溶け出し方が穏やかで長期間継続するため、肥料成分がすぐになくなることがなく、作物による吸収効率が高い。

完熟堆肥(かんじゅくたいひ)

堆肥の中で十分に発酵したものを完熟堆肥と呼ぶ。発酵には適度な水分、栄養源(窒素)に酸素が必要である。十分に発酵した堆肥は黒褐色で、鼻につくきついアンモニア臭はなく、芳しい香りに近い臭いがする。

拮抗作用(きっこうさよう)

2つの肥料成分がお互いの作用をけん制し、互いに吸収を抑え合うこと。例えば、石灰(Ca:カルシウム)が多くなりすぎるとカリ(K)の吸収は低下する。また、苦土(Mg:マグネシウム)や窒素(N)と石灰(Ca)の間にも拮抗作用がある。

客土(きゃくど)

ほ場の土壌条件を改良するためにほ場に他の土を入れること。例えば、粘土質の畑に砂土を入れて透水性、作業性などを改良すること。

切り返し(きりかえし)

未熟な堆肥の発酵を促すため、堆積してある堆肥を移動させながら空気に触れさせ酸素を供給することをいう。スコップや鍬でもできるがショベルローダーなど機械で行うことが多い。

作土(さくど)

ほ場の表面から15~20cm程度にある黒色で比較的柔らかい層のこと。作物の根のほとんどは作土で伸びるため、作土を耕起し、肥料を施し、栽培に適した状態に保つことが重要である。

三相分布(さんそうぶんぷ)

土壌は気相・液相・固相の三つから成っており、この3つの容積の割合を三相分布という。作物の生育に適した割合は、概ね気相30%・液相30%・固相40%といわれている。気相と液相を合わせた量を孔隙率(こうげきりつ)という。気相と液相の割合は同率が良いといわれている。

CEC(しーいーしー)

保肥力のことで、土壌がどれだけ肥料成分を保持する能力があるかを数値化したものである。CEC値が大きいほど保肥力がある。埴土(粘土の含有率が高い)は大きく、砂土(粘土の含有率が低い)は小さい。県内の土壌は5~8程度が多い。腐植(ふしょく)の含有率が高いとCEC値も高くなるといわれている。

深耕(しんこう)

ほ場を通常よりも深く耕起すること。通常はロータリーの爪の大きさと同程度の15~20cm程度の深さであるが、それ以上(例えば30とか40cm)深く耕すことをいう。根の張る範囲を広げたり、水はけを良くしたり、水持ちを良くしたりする効果がある。

心土(しんど)

ほ場の土壌で、作土の下にある固く茶褐色をした土のことで、耕作の影響を受けていない元の土である。

心土破砕(しんどはさい)

ほ場の透水性を良くするために鋤床層、心土層をサブソイラー(トラクタに装着して横穴を掘る機械)などで突き破ること。水田で麦を栽培するとき水はけを良くするため行う。

鋤床層(すきどこそう)

水田の土壌では作土と心土の間にある水を通しにくい固い層のことで、鋤(ロータリーなど)で起こす深さ(20cm程度)にできる。水田では水を溜めることが必要なため、この鋤床層が必要となるが、この層が水はけを悪くしてしまうという一面もある。

生理障害(せいりしょうがい)

作物が肥料成分の過剰・欠乏や過湿・乾燥などによって引き起こす生理的な障害のこと。原因がはっきりしないことも多い。病害虫被害とは区別する。

施肥基準(せひきじゅん)

作物を栽培し一定の収穫物を得るために必要な肥料成分を計算し、これに基づいて単位面積(10アール)当たりに施す肥料成分量(kg)を示したもの。作物ごとや地域ごと、目指す収量や土壌の性質により基準量が異なるので一つの目安としてとらえる。

草勢、樹勢(そうせい、じゅせい) 

作物の生育の勢いが良い状態か悪い状態かを示すこと。野菜など草類は「草勢」、果樹などの樹木類は「樹勢」と呼ぶ。良し悪しの判定には全体のボリューム、葉色の濃淡、葉の大きさ、花の大小、成長点部分の太さ、幹の太さ、果実の色・大小などがある。

速効性肥料(そっこうせいひりょう)

温度と水分があれば素早く溶けて作物に吸収される肥料。例:硫安、硝安、尿素など。 

堆肥(たいひ)

稲ワラ、草、家畜の敷料(畜舎に敷くワラ、オガクズなど)などの有機物を堆積、発酵させた物のこと。土壌の物理性の改善、腐植の増加、保肥力・保水力の向上など土づくりの効果が高い。

単粒構造(たんりゅうこうぞう)

運動場の土壌は踏み固められて土壌粒子が密の状態になっている、このような状態を単粒構造という。単粒構造の土壌では空気が少なく作物の生育には適さない。

団粒構造(だんりゅうこうぞう)

トラクターなどで耕起した土壌は柔らかいふかふかした状態で、空気を多く含んでいる。このように土壌粒子が団子状態になり、粒子と粒子の間に空気を十分含んでいる状態のこと。

窒素飢餓現象(ちっそきがげんしょう)

窒素含有が少なく炭素率の高い有機物(例えばオガクズ、木の皮などのバーク、ヨシなど)を大量に施用すると、有機物を分解させるために微生物が土壌中の窒素を急激に取り込むため、栽培中の作物が吸収する窒素が一時的に不足する。この現象のこと。有機物の分解を助けるために窒素(尿素、石灰窒素など)を一緒に施すと窒素飢餓を防ぐことができる。

追肥(ついひ)

作物の生育の途中で、不足する養分を補うために施す肥料のこと。追肥は定植後何日目などあらかじめ予定しておいて施す場合と生育状況を見極めながら施す場合がある。

天地返し(てんちがえし)

ほ場の土壌をバックホーなど機械で深く起こし、心土を上にし、作土を下に入れ替えることをいう。排水を良くしたり土壌伝染性病害の発生を減らすなどの効果があるが、心土が作土となるので作柄が不安定となったり生育差を生ずることもある。

透水性(とうすいせい)

土壌の水はけの良し悪しのこと。透水性は土壌の性質によるところが大きいが、土壌の構造(単粒構造か団粒構造)、地下水位の高低、鋤床層の有無などにも影響を受ける。

土壌改良資材(どじょうかいりょうしざい)

雨の多い日本では土壌中の石灰成分が流されやすいため酸性土壌が多い。多くの作物は弱酸性土壌を好むため、酸度(PH)を矯正するためアルカリ性の石灰(Ca)、苦土(Mg)などを補給する必要がある。石灰、苦土などを主成分にした資材のことを土壌改良資材という。

土壌酸度・PH(どじょうさんど・ぺーはー)

土壌が酸性であるかアルカリ性であるかを水素イオン濃度で測定し表示したもの。1~14の数値で表し、1~7未満が酸性で1に近づくほど酸性が強い(強酸性)、7が中性、7を超えるとアルカリ性で14に近づくにほどアルカリ性が強い。作物にはそれぞれ生育に適したPHがあり、野菜類はPH6~7程度の弱酸性を好む種類が多い。また、PHは肥料成分の溶解、根の養分吸収、土壌細菌の活動に関与しており、適正なPHを保つことが重要である。

土壌の化学性(どじょうのかがくせい)

土壌の性質の一つ。化学性はその土壌の持つ性質を、土壌酸度(PH)、電気伝導度(EC)、保肥力(CEC)、塩基飽和度などの数値で表すことができる。化学性は施した肥料成分の影響を大きく受ける。

土壌の物理性(どじょうのぶつりせい)

土壌の性質の一つ。物理性はその土壌の持つ空気(気相)、水(液相)、土と腐植(固相)の三相の割合により決まる。作物の生育は物理性の良し悪しに左右される。

土性(どせい)

土壌の性質は土壌粒子の大きさにより決まる。粒子の直径が最も小さい粘土の含有率で土壌(土)の性質を分類したものを土性といい、粘土含有率の多いものから埴土、埴壌土、壌土、砂壌土、砂土に分類される。土性により肥料や水を保持する力、作業性の難易などが左右される。

濃度障害(のうどしょうがい)

土壌中の肥料成分の濃度(土壌溶液濃度)が高くなると浸透圧が高まって、土壌から根への水分吸収が抑えられて根痛みや発芽障害を起こすこと。一度に大量の施肥(肥料を施すこと)を施したり、塩類集積が起きたときに発生する。「肥料やけ・肥やけ」ともいう。

肥効調節型肥料(ひこうちょうせつがたひりょう)

緩効性肥料のうち、土壌の化学性、生物性等に影響を受けることが少なく、地温等により肥効がコントロールされる肥料のこと。これに該当する肥料として被覆肥料がある。例えば、肥効期間を90日、120日、150日などタイプ別にした肥料がある。水稲では従来の基肥と追肥を施す方法に代え、基肥を一回使用するのみで追肥が不要な肥料もある。

肥料成分(ひりょうせいぶん)

肥料に含まれている成分のこと。窒素、リン酸、カリ、石灰、苦土、鉄等の含有量が%で表示される。肥料の容器(袋など)には必ず成分保証票がついている。

肥料の三要素(ひりょうのさんようそ)

作物が生育するのに最も重要な肥料成分(要素)である窒素(N)、リン酸(P)カリ(K)のこと。大量(10a当たり5kg以上)吸収されることから大量要素とも言われる。 窒素(N):葉や茎など植物体を構成する主要成分。葉緑素の主成分として光合成に最も重要な役割を果たしている。欠乏すると葉は黄色、茎は細く、側枝は少なくなる。葉や茎の生育を良くするため「葉ごえ」ともいう。 リン酸(P):成長点付近に多く存在し、細胞分裂に重要な働きをもつ。呼吸、光合成、根の発育、花の色などに関係する。欠乏すると葉色は紫から青緑色、初期生育不良を起こす。開花・結実を良くするため「実ごえ」ともいう。  カリ(K):リンの植物体内での変化、タンパク質や炭水化物の合成、水分蒸散の調節に関係。欠乏すると葉の先端が褐色になり葉脈間に黄色化現象が現れる。根の生育を良くすることから「根ごえ」ともいう。

微量要素(びりょうようそ)

作物の健全な生育にわずかな量(10a当たり100g以下)で吸収される要素のこと。鉄(Fe)、銅(Cu)、マンガン(Mn)、亜鉛(Zn)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)がある。 

腐植(ふしょく)

作土は心土に比べて黒っぽい色をしているが、この色は長年に渡り作物の根、堆肥、草などの有機物が腐敗して土壌と一体化したもので、土壌中の炭素の含有率を腐植含有率として表示している。一般的に腐植は3~5%程度で、良く肥えた土壌ほど数値が高い(6~8%程度)。長年、有機物の施用を続けると腐植含有量が増える。

保水力(ほすいりょく)

土壌が水分を保持できる力のこと。保水力は土壌の性質によるところが大きいが、腐植含有率、有機物が多いと保水力が高くなる。

未熟堆肥(みじゅくたいひ)

未発酵か、発酵が不十分で、原材料そのものの色、臭いがする。未熟堆肥を大量に施用するとほ場でガスが発生し作物に生育障害が出ることもある。

基肥・元肥(もとごえ)

定植する前にほ場へ施す基本となる肥料のこと。一般的には窒素(N)、リン酸(P)、カリ(K)をバランスよく施す。

有機質肥料(ゆうきしつひりょう)

魚肥類、骨粉類、草木性植物油かす類等の動植物質の肥料のこと。 魚かす粉末、肉骨粉、なたね油かすなどで、土壌中で微生物による分解を受けてから肥効が現れる遅効性の肥料である。

有機物(ゆうきぶつ)

鉱物などの無機物以外の植物や動物の残渣、排泄物などを総称して有機物と呼ぶ。ここでは堆肥、稲ワラ、麦ワラ、草、木の皮、オガクズなど土壌改良を目的にほ場に施用するもの。

養液栽培(ようえきさいばい)

土を使わずに水に溶かした肥料を、直接、作物の根に与えて栽培する方法。水耕栽培は養液栽培の一つ。養液栽培に対応する呼び方として普通に土を使って栽培する方法を「土耕栽培」と呼ぶ。

養分過剰(ようぶんかじょう)

作物にとって必要以上に肥料成分があることを過剰と呼ぶ。過剰により生育障害を起こすことを過剰障害という。

養分欠乏(ようぶんけつぼう)

作物にとって必要な肥料成分が不足している状態を欠乏と呼ぶ。欠乏により生育障害を起こすことを欠乏症状という。

葉面散布(ようめんさんぷ)

水に溶かした肥料を噴霧器で葉に散布すること。障害等により根が弱って土壌から養分が吸収できない状態や台風などで作物が弱っている場合に葉面から栄養分を補給(吸収)させる方法で、カンフル剤的な使い方をする。